タイ基幹業務システム構築の勘所 (3) 外貨取引について

この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システム、ERPなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

第3回:外貨取引について

第2回に続き商習慣に関するトピックをお話します。
本日は外貨取引についてです。
外貨取引は商習慣とは言えないかもしれませんが、日本で日本国内の企業とだけ取引している場合は何も考える必要がなかったとしても、一度海外拠点で活動をすると必ず外貨取引は発生します。外貨取引で考慮すべきポイントを整理してみました。

外貨が必要なトランザクション

日系企業のタイ現地法人であるならば、必然的に日本からの輸入、日本への輸出が発生することが多くなろうかと思います。本国の親会社との取引には依存していないタイ法人でも、原材料の全てが現地調達できるわけでもないでしょうし、また生産している物品を全てタイ国内市場で販売しているわけでもないでしょうから、筆者がこれまでタイで関わってまいりました生産管理システム、販売管理システムに外貨取引がなかった例は一度もありませんでした。
外貨取引および為替レートを意識しなければならない取引は、
・国外への出荷
・国外からの仕入
の2つが基本となろうかと思います。

なお、財務諸表作成の通貨がその国の通貨でない(例えば米ドル)場合を、IFRSでは機能通貨というようですが、タイ会計基準TFRSではこの概念はないようです。したがって、タイ国内企業は全てタイバーツで財務諸表を作成しなければならないことになろうかと思います。(※本件は、筆者も専門でないので断定はできません。詳しくはご相談されている会計士にお尋ねください。)

出荷での外貨と為替レート管理

出荷でのポイントは難しくありません。Invoice番号、Invoice発行日付ごとに外貨と為替レートが管理できればよいだけです。
乙中へ物品を引き渡す際に金額を表記したInvoiceを発行しますが、荷受する顧客にはこれ以外にも船賃、通関手数料等の諸掛、関税が架されますが、出荷した会社に入金されるのはInvoiceの金額だけだからです。

仕入での外貨と為替レート管理

逆に仕入れの際は、Invoice上の決済通貨とInvoice発行日付、このInvoiceの為替レートが管理されてなくてはならないのは当然ですが、他に船賃、通関手数料等の諸掛、関税にも為替レートが適用されます。これら3種類の外貨からタイバーツへの変換に際しては、換算する日も請求する人も違うので、基本的には別の為替レートが適用されると考えておいた方がよいでしょう。

為替レートについて

ところで、タイの会計基準として実効力のあるのは、タイ国会計基準(TAS)と財務報告基準(TFRS)であるようです。TFRSはIFRSとほぼ同じ基準であるようです。
これらの基準でも為替レートに関する記述があります。
要約しますと、TASでもTFRSでも、為替レートは取引日のレートが原則のようであります。IFRSでは為替レートを、取引日レート、決済日レート、直物為替レートと3つに分類しているようですが、この用語を使いますと取引日レートを使うことが原則となります。
さらに仕入の場合はSelling Rate(TTS)もしくは仲値(TTM)、販売ではBuying Rate(TTB) もしくは仲値(TTM)の適用が基本となるようです。この辺は貿易実務に詳しい方には常識かとは思いますが。
とはいえ、具体的な商取引では相手先企業との取り決めレートを使うこともあるかと思います。例えば直近3ヶ月の仲値平均を翌3ヶ月の取引レートにする、といったやり方です。
このやり方も可能なようですが、会計監査人に事前に必ず相談して了承を得ておくことが必要です。

システムと為替レートの接点

これまで、知っている方にとっては常識であろう外貨取引に関してお話しました。システム構築の際に外貨取引、為替レートに関してご留意すべき点は、上記背景を理解して、必要に応じて、取引ごとに、取引のプロセスごとに為替レートを個別に設定できる考慮がされているか否かではないかと思います。
弊社が扱っております、EXEX生産管理システム、EXEX販売管理システムでは当然ながら上記背景を考慮した設計となっております。

このページのTOPへ